宮城県内のリユースパソコンの需要台数を計算してみた


あるくで事業としているリユース(中古)パソコンが国内および宮城県内でどれくらい使われているのか、調査してみました。

さて、結論にたどりつけるかな...

【これまでの市場の動向】

企業でのパソコンの保有率はほぼ100%か

国内の世帯におけるパソコンの保有率は74%(2018年調査)。

世帯主が20~60代各世代ごとにみると、74~87%と大差ありません。20代など若い世代ではもっと下回っていると先入観があったので、意外でした。

前年(2017年調査)までは数年間にわたって微減傾向にあったのが、上昇に反転したのはなぜかしら。

ちなみにスマートフォンの保有率は80%です。

通信利用動向調査(総務省/平成30年)

一方、企業におけるパソコンの保有率は、この調査では10年来行われていません。インターネットを中心とした利活用の実態が設問のほとんどです。企業においては保有率100%に近づいているでしょうから、設問に入れる必要性がないからでしょう。

リユースパソコンの割合は16%

次に、リユースパソコン(中古パソコン)と新製品パソコンの販売台数です。

2016年度のリユースパソコン(中古パソコン)の国内販売台数は220万台。内訳はノート型128万台、デスクトップ型92万台で、合計台数は年によって変動が激しいものの過去5年を慣らしてみるとおおむね横ばいとなっています。

また、新製品パソコンの国内出荷台数は1011万台(株式会社MM総研/同年調査)。こちらは過去5年で33%の減少でした。ところがその後、増加に反転したことは後述します。

2012~2016年度の実績を平均して、リユースパソコンは国内のパソコン販売台数の16%を占めています。

一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会調べ(PDF)

ちなみに、同協会ではこれ以降の調査結果を、調査がなされているかどうかも含めて、ウェブサイトでは公開していませんので、2017~2018年度の新製品の出荷台数(次項の調査より)を加え、リユースの販売台数を按分して作成したのが、下記のグラフです。

2019年度は271万台。前2年の比率で推計しました。

企業向けパソコンと個人向けの割合は7対3

新製品パソコン出荷台数の流通ルート別実績(2018年度)をみると、個人向けルートが前年度比6%減の358万台、法人向けルートが27%増の826万台となり、減少を続ける個人需要を法人需要が支える結果となっています。

比率でみると、個人向けパソコン30%、企業向けパソコン70%ですね。

国内パソコン出荷概要(株式会社MM総研/2018年度)

【これからの市場の動向】

Windows 7サポート終了に向けて中小企業の需要増

パソコンの個人需要については、スマートフォンの普及等により縮小傾向にありますが、企業需要については前述の通り、依然として市場拡大の局面にあります。

主な要因は、短期的には、Windows 7のセキュリティ対策サポート終了が2020年1月に迫っており、Windows10への入れ替え需要が顕在化しているためでしょう。明らかに。

しかし、日本マイクロソフトによると、中小企業におけるWindows 7のサポート終了時期の認知は60%(2019年1月)にすぎず、今後、需要はさらに増大することが予想されています。

また、2014年に消費税が8%に引き上げられたときに、WindowsXPのサポート終了と時期が重なり、大幅な駆け込み需要が発生した現象がありました。本年10月の消費税増税時にも同様の傾向がみられるものと推測できます。

一方で、世界的なCPU(中央演算装置)供給不足の影響もあり、特に新製品パソコンの品薄傾向が来年度にかけても続くと見られます。

中期的には、就業人口の減少等に伴う働き方改革の進展で、在宅勤務の拡大や業務の効率化などによるパソコン利活用の需要が拡大していきます。スマートフォンやタブレットの普及が進んでも、一定数のパソコンはビジネスの業務において不可欠であり、需要は長期にわたって維持されると思料します。

宮城県内の2019年度の需要は4.9万台

リユースパソコンの国内販売台数は271万台(2019年、前述の推計)。これをもとにして、宮城県内のパソコン需要台数を計算してみましょう。

都道府県GDPともいうべき都道府県別県内総生産(内閣府/2015年)で宮城県は全国比1.7%、人口で全国比1.8%(総務省/2018年10月)とほぼ同じでした。

そうすると、2019年度の宮城県内のパソコン需要台数は4.9万台と推定されます。

うち、法人向けパソコン70%、個人向けパソコン30%をあてはめると、法人向けパソコン3.4万台、個人向けパソコン1.5万台が導かれます。

中古パソコンの調達先は、主に中古パソコン専門店、リサイクルショップ、インターネット通販(オークション含む)が主流でしょうが、宮城県内において、常時(わずかながら)10台以上の中古パソコンを展示販売している実店舗は数店に過ぎず、ほとんどがインターネット通販を利用しているものと推測できます。

しかし、パソコンについての専門知識を持たない一般の人々にとっては、製造年代、仕様、性能、価格、個体による故障可能性などを総合的に判断して、適切な商品を選ぶことは困難であり、中古パソコンを希望するも購入にいたらない層が一定程度存在していると思わざるを得ません。

また、前述のように今年後半からはリユース、新製品問わず、パソコンは品薄かつ高値になるものと考えられます。

さて、このような状況を鑑みて、あるくは宮城県内の企業とNPO向けの再生パソコンを開発してラインナップとし、普及を急ぐことといたしました。

乞う、ご期待。

(追記)

東北地方全体についても調べてみました。

都道府県別県内総生産で全国比6.9%、人口で全国比6.2%ということで、パソコン需要台数を全国比6.5%とおくと17.6万台。うち、法人向けパソコン12.3万台、個人向けパソコン5.3万台となりました。